大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和30(オ)185 判決

主 文

本件上吉を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人池田光四郎、同相原良市、同上原隼三の上告理由第一点について。

上告人会社は、原審において第一審判決摘示のとおり事実上の陳述をしているの

であつて、右の事実によれば上告人会社は所論退職金給与に関する規定については、

被上告人D造船所全従業員の労働組合たるE労働組合F支部G分会代表者と上告人

会社D造船所長との間に昭和二三年一二月五日締結した労働協約の第一〇条により

別途にこれを定めることになつているが未だその定めがない旨主張しているだけで

あつて、所論のように上告人会社が労働組合G分会に対し一括一五〇万円を退職金

その他として支給する協定が成立し、現実にこれを支給して一切が解決せられた等

の事実は主張されていないのである。そして新協約による別途の定めがない以上、

従前に上告人会社と上告人会社経営の各造船所従業員労働組合をもつて組織する労

働組合連合会代表者との間に締結実施された上告人会社の従業員退職規定(甲第六

号証)により退職金を支給すべき義務のあることは当然であるから、原判決が所論

のように「権限の委譲を根拠として連合会との間に締結された従業員退職規定の効

力を否定することはできない」と判示したのは正当であつて、原判決には所論のよ

うな理由不備、理由齟齬の違法はない。

同第二点について。

上告人会社が所論労働組合分会代表者との間において同分会に退職金その他一切

の給与として一括金一五〇万円を支給すめことに協定し、右金員は支払済であると

の事実は、上告人会社が原審で主張しないところであつて、この点につき原審に釈

明の義務あるものとは認められない。されば、かかる義務の存することを前提とす

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る判例違反の主張は理由がない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文とお

り判決する。

最高裁判所第三小法延

裁判長裁判官 島 保

裁判官 小 林 俊 三

裁判官 垂 水 克 己

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